ライオンのおやつ 小川 糸 著

瀬戸内海に浮かぶ通称レモン島にあるホスピスに入所した女性のお話です。

 

勧められて、内容を知らずに読み始めたのですが、1-2ページ読み進めたところで、主人公の死が間近に迫っていることに気づいて、読み進めるべきか迷いました。

親兄弟を病気で見送った私には、厳しいかな?と思ったからです。

ただ、小川糸さん(著者)の「つばき文具店」が好きだったので、読後に嫌な気持ちにはならないことを願いながら、読み進めることにしました。

 

瀬戸内の風景はなじみがあるので、ゆったりとした海を思い浮かべると自然に物語の世界に引き込まれていきました。

時には葛藤しながら、時には穏やかに死を迎えていく描写は、本当に死はこうやって訪れるのだと思えてきます。

主人公は亡くなってしまいましたが、嫌な気持ちになるどころか、読み終わってみたら、レモンのようにすっきり&爽やかな風が残りました。

私もこんな風に最後を迎えられるといいなと思います。

 

マドンナ(ホスピスの主宰者)曰く

・生まれることと亡くなることは、ある意味で背中合わせです。どちら側からドアを開けるかの違いだけです。こちら側からは出口でも、向こうから見れば入り口になります。

→なるほど、目からうろこでした。来世やあの世を信じたいですね。

 

息子を亡くしたヘルパーさんにシスター(入所者)が贈った言葉

・思いっきり不幸を吸い込んで、吐く息を感謝に変えれば、あなたの人生はやがて光り輝くことでしょう。

→残念ながら、イメージは判りますが、今のところ、よく理解できませんでした。

 

弱ってきた主人公が絵本ばかりを読むようになって

・絵本だったら、途中まで読んだけどその後が気になって眠れなくなることもなかったし、(中略)難しい単語も登場しなかった。悪意を持って人が殺されたりもしない。動物はたまに死んでしまったけれど、それも自然な流れの死に方であって、面白半分に殺されたりはしなかった。死にそうな癌患者が登場することも、まずない。

→人生の最後はきれいな絵本がいいですね。

 

「ライオンの家」の由来(マドンナ曰く)

・ライオンは百獣の王だから、もう、敵に襲われる心配がないのです。安心して食べたり、寝たりすればいいってことです。

 

おやつ(マドンナ曰く)

・おやつは体には必要のないものかもしれませんが、人生が豊かになることは事実です。おやつは心の栄養、人生へのご褒美だと思っています。

→そうだそうだ!ダイエットのためにおやつを辞めるのは心が悲鳴をあげるかもしれないね。