がん外科医の本音 中山祐次郎著
今後、必ず参考になることばかりでした。忘れないように、気になったことをメモして大きます。
感銘を受けた言葉)
がんにかかり、命を終えるということは、雨降りのように自然なことなのです。
がんにかかったことは、あなたのせいではない。誰のせいでもない。《いくつもの原因が複雑に絡みあい、特定することは極めて困難》
迷言?)《著者のお父様の言葉だそうです》
なるべく検査はしたくない。気づいたら手遅れというのがいい
がんにかかってしまった、という精神的な苦痛がずっと続くなら、手遅れでいつ買った方が良い
がんの種類
- 上皮性悪性腫瘍(癌)
- 非上皮性悪性腫瘍(がん)
- 造血器由来の悪性腫瘍など(がん)
がんの三大治療法
病院の選び方
- そのがんの治療を専門にやっているか
- 関連するすべての科の医師がいるか
- 自宅からのアクセス(通院)
主治医を変える方法
- (本人もしくは家族から)直接伝える
- 看護師長もしくは看護師を通じて伝える
- 診察曜日を変える
がんの情報を集める時は、まず、がん相談治療センター(がん情報サービス)HPへ!
情報を見極めるための10か条
- その根拠は?とたずねよう
- 情報のかたよりをチェックしよう
- 数字のトリックに注意しよう
- 出来事の「分母」を意識しよう
- いくつかの原因を考えよう 《原因は一つだけとは限らない》
- 因果関係を見定めよう
- 比較されていることを確かめよう
- ネット情報の「うのみ」はやめよう
- 情報の出どころを確認しよう
- 物事の両面を見比べよう
がんを告知されたら医者にすべき3つのこと
- そのがんの治療に慣れているか?(1年に何人くらい担当しているのか)
- どんな予定で検査や治療を進めるつもりか
- 私・家族にできることは何か
奇才 あべのハルカス美術館
今まで、取り上げられていなかった作家の作品などがたくさん展示されていて、とてもみごたえのある展覧会でした。音声ガイドを借りて、説明を読みながら鑑賞していたのですが、3時間弱、かかりました。次の予定がなければもっと時間をかけていたと思います。
北斎の屋台天井図が展示されていました。昨年、小布施でみたときは屋台に組み込まれていたので見上げたわけですが、今回は正面にまっすぐ展示されていて、じっくりと観察できました。角度が違うとそれぞれに面白い見え方がして、得した気分でした。北斎に縁を感じたので、次は葛飾で観たいものです。
伊藤若冲の鶏図押絵貼屏風もありました。若冲が描く鳥は写実的でその色彩と相まってあまり好きではないのですが、この屏風はモノクロで、鶏の顔がユーモラスで思わず見入ってしまいました。
仙厓も久しぶりですが、丸っこいユーモラスな絵が好きです。
流浪の月 凪良ゆう著(2020年本屋大賞)
実に面白かった。
最初の数ページを読んだだけで引き込まれていく。流石、本屋大賞受賞作と思いました。
主人公の「彼」と「彼女」は、世間からは誘拐事件の犯人と被害者とされていましたが、真実は別にありました。
実際の被害者は、晩御飯はアイスクリームでもOKといった自由過ぎる?育ち方をしていたのに、父親と死別し、母親に捨てられ、おばの家に引き取られた結果、一般買い手の常識にはなじめず、さらに従兄から性的虐待を受けるなど、自分を殺して生きる事を強いられていた少女でした。一方の犯人とされたのは身体的な問題で一人前の男性になれない苦悩を抱えた青年でした。少女からすれば青年は従兄から解放してくれた救世主であり、青年は少女のお陰で抱えていた悩みを明らかにするきっかけとなったので、やはり救世主だったのかもしれません。
最近、マスク非着用で飛行機から降ろされるという事件?が続いていたこともあり、常識とか躾とか、いったい何だろう? と考えてしまいました。
後半で「真実と事実は違う」という言葉に驚いて、調べてみると興味深い結果を見つけました。
真実も事実も、うそ偽りのないことを指すが、「 事実」とは実際に起こった「客観的な事柄」で常に一つ、「真実」は事実に対する偽りのない解釈=「主観的な事柄」なので複数存在する。
「AがBを殺した」というのは「事実」で、「Aは暴力を振るってくるBを避けようとしたところ、Bが足を滑らせて頭を打打ち死に至った」は「真実」という説明をみつけて納得しました。
青年が少女を自宅に連れ帰り暫く同居していたことは事実ですが、二人の関係性について、いくら少女が何一つ嫌なことをされなかったと説明しても「ストックホルム症候群」という解釈をすることで、世間から理解されることはありませんでした。
15年後に青年の努力と偶然に助けられて再び巡り合い生活を共にする状況も、世間からは理解されないものとなっていますが、少女の常識に縛られない考え方によって、物語は豊かになっていると思いました。できれば母親のコメントとして「思う通りに生きていいのよ。荷物は背負わなくていいよ」って言ってほしかったかな。
それにしても、直木賞や芥川賞があまり面白くないと感じる事が増えているなかで、本屋大賞は読者に寄り添った素敵な賞だと思います。
ライオンのおやつ 小川 糸 著
瀬戸内海に浮かぶ通称レモン島にあるホスピスに入所した女性のお話です。
勧められて、内容を知らずに読み始めたのですが、1-2ページ読み進めたところで、主人公の死が間近に迫っていることに気づいて、読み進めるべきか迷いました。
親兄弟を病気で見送った私には、厳しいかな?と思ったからです。
ただ、小川糸さん(著者)の「つばき文具店」が好きだったので、読後に嫌な気持ちにはならないことを願いながら、読み進めることにしました。
瀬戸内の風景はなじみがあるので、ゆったりとした海を思い浮かべると自然に物語の世界に引き込まれていきました。
時には葛藤しながら、時には穏やかに死を迎えていく描写は、本当に死はこうやって訪れるのだと思えてきます。
主人公は亡くなってしまいましたが、嫌な気持ちになるどころか、読み終わってみたら、レモンのようにすっきり&爽やかな風が残りました。
私もこんな風に最後を迎えられるといいなと思います。
マドンナ(ホスピスの主宰者)曰く
・生まれることと亡くなることは、ある意味で背中合わせです。どちら側からドアを開けるかの違いだけです。こちら側からは出口でも、向こうから見れば入り口になります。
→なるほど、目からうろこでした。来世やあの世を信じたいですね。
息子を亡くしたヘルパーさんにシスター(入所者)が贈った言葉
・思いっきり不幸を吸い込んで、吐く息を感謝に変えれば、あなたの人生はやがて光り輝くことでしょう。
→残念ながら、イメージは判りますが、今のところ、よく理解できませんでした。
弱ってきた主人公が絵本ばかりを読むようになって
・絵本だったら、途中まで読んだけどその後が気になって眠れなくなることもなかったし、(中略)難しい単語も登場しなかった。悪意を持って人が殺されたりもしない。動物はたまに死んでしまったけれど、それも自然な流れの死に方であって、面白半分に殺されたりはしなかった。死にそうな癌患者が登場することも、まずない。
→人生の最後はきれいな絵本がいいですね。
「ライオンの家」の由来(マドンナ曰く)
・ライオンは百獣の王だから、もう、敵に襲われる心配がないのです。安心して食べたり、寝たりすればいいってことです。
おやつ(マドンナ曰く)
・おやつは体には必要のないものかもしれませんが、人生が豊かになることは事実です。おやつは心の栄養、人生へのご褒美だと思っています。
→そうだそうだ!ダイエットのためにおやつを辞めるのは心が悲鳴をあげるかもしれないね。
むらさきのスカートの女 今村 夏子 著
2019年上半期芥川賞受賞作ということもあり、O女史のおすすめもあって、結構期待していましたが、尻切れトンボというか消化不良気味です。
「むらさきのスカートの女」に並々ならぬ興味を持って、友達になりたいと思うあまり、同じ職場に就職するように仕向けた「黄色のカーディガンの女」の視点から描かれています。ちょっとストーカー的なお話が展開するのですが、最後はするっと逃げられてしまうので、結局、「むらさきのスカートの女」がなにものだったかはわからず、生活破綻している「黄色のカーディガンの女」がどうなっていくのかも見えず、すっきりしませんでした。私の想像力が乏しいからなのでしょうか?
昨今の芥川賞や直木賞は腑に落ちないとの意見をよく耳にしますが、同感です。「本屋大賞」の方が、ずっと面白くて信頼できると思いました。
まあまあふうふう 八千草 薫 著
題名は、良い加減という意味の中国の言葉「馬馬虎虎」の読みで、著者が夫から「いい加減に生きなさい」と言われていたことに由来するそうです。「ほど良く生きる、ちょうど良く生きる」という意味もあるそうです。
26歳の時に母を亡くした私は、年老いた自分を想像することが出来ません。
いままで、老後の参考にといろいろな本を読んできましたが、いずれもHow toでした。
この本で、老いることにどう向き合ったり、なじんでいくかをそっと教えてもらったような気がします。
曰く
買物をするなら自分の心がウキウキするようなものを・・・
(断捨離について)物の先には思い出がある・・・
「転ばないように」を考えすぎない
などなど、参考になりますm(__)m
深刻な病気が見つかった時に「とうとう来たか」と思ったそうですが、私もそう思えるでしょうか?そうありたいですね。