カラスの親指 (2012年)
監督・脚本 伊藤匡史
原作 道尾秀介
「カエルの小指」(道尾秀介著)を読んで、すごく面白かったのでシリーズの前作にあたる「カラスの親指」を読みたくなりました。
ちょうど、Amazon prime Videoで映画がある事を知り、原作を先に読むべきか迷ったのですが、ひとまず映画を観ることにしました。
通常、映画はどうしてもコンパクトに物語をまとめているので面白味に欠ける事が多いのですが、この映画は物語を端折った印象は全く感じませんでした。
「カエルの小指」と同じく物語が終わったと思ったら、まだ、さらに奥の物語があるという構造を知っていたので何処で終わるのか、ワクワクしながら観ていました。
終わってみると、主役は阿部寛ですが、村上ジョージが光ってましたね。
漸く、映画をチョコチョコ見る余裕が出てきました。
医者の本音 中山祐次郎著
いままで、どうして?と思っていた事、例えば、「しばらく様子をみましょう」とか、症状があるのに「大丈夫ですよ」の意味など、少し判りました。
医師と患者は別の視点に立っているので、致し方ない点が沢山ありますよね。
本書で進めている「医師に質問するリスト」は事前に用意しているのですが、診察室でスマホのメモを見るのはちょっと気が引けていました。でも、大事なことなのですね。
専門別の医師の特徴もうなづきながら読んでしまいました。
曰く
内科:細身のメガネ男性が多い。几帳面で計算が得意。まじめでコツコツ勉強タイプ。理論的。ただし、心臓が専門の循環器内科医、医長が専門の消化器内科医は少し体育会系の雰囲気が加わる。女性内科医はときに厳しく患者を指導する。
小児科:
男性も女性も、みるからに優しい雰囲気をまとう。真面目で誠実、一本気。子供の治療に情熱をまっすぐに向ける。しかし、多忙のためかぬぐい切れない疲れがにじむ。
今まで、仕事でお世話になった先生方を思い浮かべると、合点がいきます。
最も、小児科に限らず臨床病院の循環器内科医も疲労感が漂ってます。
同じ著者の「がん外科医の本音」と「なくな研修医」も楽しみにしています。なかなか、図書館で見つけるのは難しいですけどね。
寂聴 九十七歳の遺言
インタビューをまとめたものですが、不倫も然り「好きな事をすればいい」とのメッセージと受け取りました。不倫はちょっと???ですが、阪神大震災で震度7を経験したときから、出来るだけ周りに迷惑をかけないようにと思いつつ、多少の無理をしても可能ならば「食たいものを食べ、会いたい人に会い、行きたいところへ行く」機会を逃さないように生きてきました。贅沢かな?と思うことも多々ありましたが、「それで良いんだよ」と言っていただけたようで嬉しく思いました。
「寂聴」は今東光さんがつけてくださった名前だそうですが、「寂」は煩悩の炎を鎮めた静かな状態をあらわすのだそうです。「寂」は静かなイメージを持っていましたが、寂しい≒孤独を意味するのかと思っていましたので、改めて意味を知って、素晴らしい!と感心しました。
軽やかに生きていきたいですね。
なにわ夫婦八景 大阪松竹座
友人に誘われて大阪松竹座で「なにわ夫婦八景」を観てきました。
米朝夫妻の物語でしたが、主演の真琴つばさや筧利夫は宝塚やドラマ、映画の世界では大活躍の方々ですが、舞台については、大げさな演技でいかにもお芝居をしているようにみえて、しっくりきません。同じ役者でもフィールドの適不適があるのでしょうか。
一方で、蝶丸(ざこば)役の今野浩喜は自然な演技で、役にぴったりで適役でした。
朝ドラ(スカーレット)でも存在感が評判の三林京子(嫁の母親役)が登場すると、舞台がぐっと引き締まって、物語に引き込まれました。流石!です。
桂ざこばも四代目米團治役で出ていたので、落語のさわりを聞けるのではとちょと期待しましたが、残念ながらそれはありませんでした。
劇中、たこ焼き屋の主人役で中村鴈治郎が出てこられて、在りし日の米朝さんの思い出などを話すコーナーがあったのですが、こちらも興味深いお話が盛りだくさんで、もっと聞きたかったです。
今年は、こうやって、笑って過ごしたいですね。
告白/2010年 湊かなえ
いつもの事ながら、「えぐさ」加減に気味悪さではなく感心してしまいます。理不尽に肉親を失った個人の割り切れない思いが常識を超えた結末を引き寄せる感じは嫌いではありません。むしろ、思いとどまることなく、最悪の結末を迎えることに快感さえ覚えます。
奇しくも、今日は1月17日、25年前のあの日聞いた「お父ちゃんの声が聞こえへん」という近所の方の声が今も耳に残っています。彼女はいま、理不尽な感情の落ち着き先を見つけることが出来たのでしょうか?